HOME > ごあいさつ

万人が常に学校であるという事実を私たちはいつのまにか忘れています。教育の根本は生き方にあり、そのたどるべき経路は一人ひとりに違います。自分の適性がどこにあるのか、何を天から与えられているのか。それを見つける過程を一人ひとりに学問と呼ぶのです。ただ文字を追うことをもって学びとする現在の教育は、大きな心得違いといえるでしょう。
人間がこの世に生まれるのは自力ではありません。天の摂理に従い、自らの天賦があらかじめ恵まれた方向に現れるように、人間は自らの魂を導いていかなければなりません。その根源の力に対して呼びかけ、児童自身がこれを必要とし、自ら求めて学ぶように手助けするのが教育です。
この魂に点火する努力は、生きた人格に触れることによって初めて可能になります。どんな人生を歩んできたのか、ただ一度の人生で何を見たのか。その光景をわが目に映すことの中に人間があります。生きる喜びも困難も、すべて人間の心の中で起きること。その一滴がおのずから波紋を描いて広がってゆくとき、そこに万人の願いを見るでしょう。
心の成長と引継ぎ。それが人類のたどってきた自己深化の道です。無限に深められる精神は社会そのものを教育し、やがて国民の、さらに人類の発展という大きな全体に組み込まれていくでしょう。永遠に成り続ける意志そのもの。この無限の系列がはじめて学校を意味するのです。
人から人、世代から世代へ。私たちは尽きることなく新たな自己を生み出し、人間は歴史の中に育まれてゆくでしょう。生まれる前にも後にも続いていく。それが私たち人間の生き方なのです。
生き方に正解はない、そのことを伝えられるのも今を生きる人だけです。人間の心が真に目覚めるとき、理想の社会がその姿を現します。教科書にはない未来が、そこにあります。